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私の未来を信じて。
私の母は看護師でした。
働きながら子育てする背中は子供心に憧れて
いつか母のように人の役に立つ
そんな仕事に就きたい、と夢を抱いていました。
しかしハンドボールの特待生として
入学した高校の勉強で挫けた私は
人生で初めて、
お母さんやお父さんを泣かせてしまいました。
あの日から私は
もう家族の期待や決められた将来ではなく
「自分自身の未来のために」
生きることを決意します。
それから東京に定期的に通い
ウエディングプランナーになるために
就職先を探した私ですが
その最中、出逢った男性と結婚を考え
その後、18歳にして妊娠を経験します。
この時もまた…
私はお母さんとお父さんを心配させたのです。
姉はガソリンスタンドで働きながら
バイトをして子供を育てて
弟は一日の半分を家に引きこもり
私は会った記憶が乏しいほどで
そんな環境の中、
「私くらいは迷惑や心配を掛けたくない」
その一心で両親の役に立ちたくて
甘えることなく17歳で家を出て
自立をしたこともあり…
社会人経験だけは立派に重ねていました。
友達もいない。家族もいない。
子育ての不安を打ち明ける仲間もいない。
私にとって「手に職を持つ」ことは
永遠の憧れであったにも関わらず
自分の未熟な行動や考えでその機会を失い
懸命に生きるものの
すっぽり抜け落ちた経験値を取り返せずに
長い期間、子育てをしながら社会で働く難しさに
直面することになりました。
学歴もない。お金もない。
お母さんのように「手に職」もない。
そのコンプレックスに苦しむことになります。
当時、私はウエディングの世界で
はじめてのママハラスメントを経験します。
子育てをしながら働く女性は
多くの会社に理解されない時代でした。
定時に上がることを
「不真面目」と取られる時代に
私は歯を食いしばってオフィスを去ります。
そんな日々を繰り返す中、
達成されない自分の野心を前に
いつしか心を病んでしまった私が辿り着いたのは
個人宅で開かれたセラピーサロンだったのです。
私はその日、はじめて
〈セラピスト〉という仕事に出逢いました。
二十歳になったばかりの
春の出来事です。
私は女性として美しくなることを
その頃すっかり、諦めていました。
妊娠による
シミや黒ずみ、抜け毛に悩み
肌もくすみ、アトピー再発でボロボロになって…
妊娠で増えた20kg近くの減量に苦労し
好きなものを好きなように
食べることもできなくて。
そんな環境の中で
同世代の友人はSNSの向こう側で
きらきらと輝いているものだから…
卑屈にもなりますよね。
私は当時の私が、今でも嫌いです。
それくらいに
自分に自信がありませんでした。
しかしその出逢いをきっかけに
私は180度人生を
方向転換することになります。
“女性としての武器”など
磨いたことがありませんでした。
〈女性であること〉
〈母親であること〉
〈素肌に悩みを抱えていること〉
〈植物に関心があること〉から…
手に職を付けることで
自分自身の可能性を磨くことを決断します。
そんな環境の中、
私を唯一救ってくれたのは「植物」でした。
育てることは得意ではありませんでしたが
その植物から生まれる
類まれなる効能や効果を知る度に…
「何故私はこれまで考えなかったんだろう」と
好奇心に躍るような想いを持った日を
今でも鮮明に、思い出します。
昔から野菜の栄養学などに興味があり
お母さんのように
カッコいい看護師になることは
出来なかったけれど
私は、私なりの道で
人の役に立てる仕事に就きたい。
出来ることならば「手に職を身につけて —」
女性が社会の中で一人
凛として立ち続けるためには
手に職を持つことはもちろんのこと
経済をきちんと理解していく
強さが必要でした。
旦那さんのお小遣いで生きるような
そんな惨めな人生は嫌なのです。
私は、私の選択肢と可能性を持って
〈一日一生〉… 今日生まれて今日死にたい。
毎日悔いのないように
自分の決めた道を突き進み
また明日、新しい私になると決めていました。
「私は綺麗じゃないから」と
勝手に決めつけて諦めるのは簡単です。
でも明日 ”女性としての性”が
突然に終わるわけではありません。
死ぬその日まで
私たちは〈女性〉の体で生きていきます。
その器を磨くことは
決して贅沢ではないのです。
中身が男でも女でも…
人は持って生まれたその「器」を
親から貰ったその体を磨くことで
心が前を向けます。
「自己肯定感」は
心や体を磨くことから育つこと。
それだけは、
美容の仕事に就く前から
知っていましたから。
つづく。
坂田まこと
私の半生が自叙伝になりました。
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