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「どうして宮崎に来たんですか?」
そう聞かれることが本当に多くなりました。
どんなことにも
必ず意味があります。
そう、この決断にもです。
その決断の先
私は多くの挫折を経験しました。
憧れからの挫折。
信じたことからの挫折。
経験不足からの挫折。
でもね、どの挫折も
私に身の丈を教えてくれました。
「あなたはこれでいいのよ」って。
結局は身の丈に合わないものは
身につけても似合わないわけですよ。
足の短い私がズボンを履くよりも
腰丈からのスカートの方が
綺麗に見えるわけですよ。
無理をしても
持って生まれたものだけでは
同じステージにすら立って戦うことすら叶わない。
最初は、私も何も出来ませんでした。
「何も感じていない」わけでは
ないということ
信じて欲しかったのは
何も出来なかったとしても
「何も感じていない」わけではないということ。
子どもも皆んなそうですよね。
親に叱られながらも失敗しながら感じて
学びながら成長していくわけです。
私はそれらの挫折から何度も学びました。
身の丈を知りました。
そして物凄い勢いで成長してきたのです。
若さも、性も、環境も、私を責めたりしない。
戦わなければ負けたりなんてしない。
向き合わなければ傷つくこともない。
その気持ちだけは〈本物〉だってこと。
「認めて欲しい」ただ、それだけで。
宮崎に来たのは
今日からちょうど一年前のことです。
宮崎県は他県に比べ、非常に温暖で
人も空気も穏やかに流れる
陸の孤島でした。
人と環境の繋がりを想い
有機栽培や自然栽培、減農薬栽培に取り組む
前向きな農家さんが多く
歴史ある風土と人の暖かさに溢れる場所です。
都心で生まれ
都心で育った私にとって
帰れる田舎は、何処にもありませんでした。
今では此処が、私の故郷になりました。
私はこの地で
何かを築きたいと言うよりも
「認めて欲しい」ただ、それだけで
最初は此処までやってきたわけです。
都心にいるときは
正直息苦しくて辛かったわけです。
周りの評価は日に日に大きくなる中で
心無い一言に傷つき
人は好き勝手噂を楽しみ
その中にある「真実」を見ようともしませんでした。
若さや性や環境が仇となり
沢山の壁が立ちはだかりました。
頑張れば誰もが認めてくれる。
失敗しても誰かが教えてくれる—
社会はそんな甘い場所ではありませんでした。
成功は妬まれ、失敗は叩かれ
人気税という名の税金はあまりにも高額で。
そんな中である時から
小さな幸せの温かみが
突然分からなくなったわけです。
次第に
人の優しさや、親切すら
裏を考えるようになりました。
「人を信じることができない」
人と生きる仕事をする私にとって
人を信じることができないなんて
一番悲しい出来事だったわけです。
どんな辛いことでも
誰かが喜んでくれるなら頑張れました。
でも、だんだん
誰のために頑張ればいいのか
分からなくなっていったのです。
「わたし探し」
だから私は
宮崎で自分の原点を探すことにしました。
よく言う「自分探し」ってやつです。
旅行会社のパンフレットにあるような
ワクワクするようなものじゃありません。
真剣で実直な「わたし探し」の場所を
此処にしました。
身寄りも知り合いもいないこの場所で
「わたし」と言う人間が何処まで出来るのか
きちんと30歳を節目に
試してみたかったのです。
間違っていたのか、正しかったのか
自分という存在を自分で認めるための挑戦です。
他社評価に過敏になり
自分に自信を失いかけていたからこそ
今この時「生き直す」必要がありました。
大きな投資はそのための覚悟でもあります。
もう引き返せないように
今の私は此処に覚悟を埋めたわけです。
女であることも、母親であることも
言い訳にしない。
もう逃げることもしない。
「私は此処で一から頑張ります」と
そう、言いたかったわけです。
憧れから始まった
化粧品製造の世界への挑戦は
困難も積み重なりましたが
それ以上に多くの学びがあったことも確かです。
沢山の出会いが私を救ってくれています。
今日も多くの地元の人達に支えられ
送迎の車の中でわんわんと子供の様に泣く私は
いつも無我夢中で走り続けていました。
だけど、今はそれでいいんです。
不恰好でも泥だらけでも、いいんです。
きっと、ちゃんと
私は出来るようになるから。
いつかその涙の向こう側に
確かに築き上げた「道」ができるように
今は何がなんでも頑張りたいのです。
家で私を待つ娘のためにも
簡単に諦めるわけにはいかないのです。
わたしは
生き直すために此処に来ました。
もう何処も傷つかない。
もう誰も傷つけない。
この先の未来は
今の私をきっと認めてくれるはずだから。
坂田まこと
私の半生が自叙伝になりました。
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