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素肌と向き合う時間。

 

人にはひとつやふたつくらい
コンプレックスって
あるもので。

 

それをわざわざ知られる必要も
知らせる必要も無くて
隠したいなら
隠していけば良いと

私はずっと思っていました。

 

 

でも、20歳の頃

化学物質過敏症になって
ファンデーションも日焼け止めも
市販の化粧品すらも染みて使えなくなった時

 

初めて、そう強制的に
自分の素肌と向き合うことになったこと。

 

今思えば、神様は私に
そっと教えてくれたんだと思う。

「自分を大切にしなさい」って。

背伸びして
急ぎ早に生きてきた私に
少しだけ自分らしさを取り戻すことを
教えてくれたこと。

その言葉に従うように
私は素肌で生きるようになったら
見える景色が180度変わったんです。

抱き続けたコンプレックスが
雪解けのように溶けてなくなっていく。

どんどん女性として、母親として
「自信」と「時間」を取り戻していく。

 

 

この仕事とも巡り会えて
私の人生は「素肌と向き合うこと」
大きく変わりました。

 

多くの人はすっぴんと聞くと
「肌が綺麗な人だからできること」
「若い人にだけできること」

そう決めつけてしまうことが多い。

 

でも、少しでも〈隠したい〉という想いに
違和感を覚えているならば

朝の数十分のメイクの時間すら
少しでも不快に思うなら

昼休みの限られた時間を
崩れたメイクを直すために費やすことを
少しでも卒業したいなら

 

〈素肌なのに、素肌にみえない〉

そんなナチュラルなメイクから
自分の素肌と向き合うことができたなら

 

女性はどれだけ歳を重ねても
豊かにシミやシワを重ね
その上、みずみずしい
透明感を兼ね備えられるのに。

 

 

 

今だけの綺麗に依存しないでほしい。

 

・・・そう思って
私は素肌で生きるという選択肢

お洒落やムーブメントではなく
「美容に対する女性の依存的行為」として
警鐘を鳴らしてきたのです。

 

 

傷だらけでも、誰も責めたりしない

 

私も30歳になったことで
自分の中の違和感
向き合いたいと思うようになりました。

 

顔の素肌は、受け入れた。

でも、自分の背中は?

 

 

25歳の時。
離婚後さらに悪化した
背中や腰回りのアトピー跡は

誰もが「少しでも休んで」と心配になるほどに
ひどい色素沈着と
新たな赤みに覆われていて。

 

スタッフが心配して
トリートメントをしてくれるものの
その摩擦が痒くて掻いてしまう。

 

今も夜は、ちゃんと眠れない。

 

真夏もレギンスに長袖を着て
爪を毎晩ヤスリで削り
枕元に保冷剤と保湿クリームを置いて
眠っているこの1年間。

 

 

コロナの期間に悪化して
今はステロイドさえ
御守りのように持っている始末。

 

自分の体なのに、自分の皮膚なのに
いうことを聞いてくれません。

 

24時間365日
体のどこかが痒くて
気を抜いてしまうとぼりぼりと掻いてしまう。

掻いたところから
蕁麻疹が広がってしまう。

 

皮膚バリア機能の低下により
セーターやシャワーの少しの刺激で
鳥肌になる。痒くなる。

 

 

つらくて、つらくて、とにかく眠れなくて。

 

どんどん身体に自信を無くしてしまって
跡が残っている背中は特に
隠すように生きてきたんです。

 

 

 

でもこの前ね、宮崎に行った時。

素敵な出会いがあったんですよ。

ある方がヌード写真を撮ったというので
興味本位で見せてもらったら
とても美しくて…

 

もっといやらしくて
きれいなモデルさんだけが許されること
だと、そう思っていたから。

 

でもその方の背中や肩のショットは
すごく幻想的で
涙が出そうなくらい綺麗で。

 

 

そんな時、私の中で
瘡蓋になっていた心の蓋が
ポロって落ちたのが分かったんですね。

 

 

「私の背中も、撮ってくれますか?」

 

 

人ってどうしても自分でなんでも
決めつけてしまうんです。

 

不安な気持ちを確かめたくて
良くない方向に
ものを考えてしまうんです。

 

だって、その方が
その通りだったときに
傷付かなくて済むでしょう?

 

 

予想もしていない展開に
幸せから突き落とされるくらいなら
最初から最悪な展開を
〈心の保険〉にしたがるのが人間です。

 

私は綺麗になれない。

そう決めつけていた方が、楽なんですよ。

 

でも諦め続けて

服やメイクで自分を隠して生きること。

それってなんの意味があるんだろう。

 

30歳になってまた
その仕事を通じて気付かされて
心が突き動かされるのです。

 

撮影は2月。大人になる時間。

 

– 写真館 マディーラさんのInstagram –

 

2月。

書籍にも使うカット含めて
宮崎で撮影することになりました。

 

 

恥ずかしいし、本当は嫌です。

でもそれ以上に
その先にいる〈新しいわたし〉
会ってみたいと思ったんです。

 

 

30歳になって、いろんなことが変わりました。

仲間も家族も愛する人も
みんなこれまでとは違う
新しい環境が私を変えてくれます。

 

 

〈変わり続けたい〉

いつかこの宮崎LABOの中に
〈素肌色写真館〉という名の
女性のためだけの写真館を開こう。

 

都心から
オーガニック化粧品に興味がある女性たちを招き
ここで一緒に農産物や植物に触れて
化粧品を作るのです。

 

完成した化粧品で
トリートメントを受けて

その場で素肌の写真を収めるのです。

 

素肌で写真を撮ることなんて
ほとんどないと思うんですね。

 

でも、自然に触れて自分に触れて
心と体が楽になったとき
今日という一番若い日その瞬間に
写真に収めておきたい。

顔だけでも全身でも構いません。

 

そんな、女性のためだけの写真館をここで開ける日が
すごく楽しみになりました。

 

 

坂田まこと

 

 

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